攻囲戦

世の中には色々な趣味を持った人がいます。切手、鉄道、アイドル、珍しい爬虫類、コーヒーなど。私は中世ヨーロッパの戦争とか騎士とかが好きなのですが、特に好きなのは野戦ではなく攻囲戦、いわゆる攻城戦なのです。

攻城戦、というのは映画なんかでご覧になってご存知でしょうが、お城を攻めることですね。一方の軍が城の周囲を包囲し、もう一方の軍は城壁の中からこれを迎え撃ちます。実は中世の戦争では野戦なんかよりこの攻囲戦の方がよほど勢力の均衡を変えることが多かったのです。

サッパー、エンジニア、アーティラリーマン、マイナリー。これは攻囲戦で活躍した兵士の名前です。サッパーは塹壕折り、エンジニアは技術兵、アーティラリーマンは砲兵、マイナリーは坑道掘りですね。騎士や弓兵は戦闘では活躍しますが、いざ城を攻め落とそうとなると、鍵を握ったのはこれらの特殊な兵士たちです。地味なようですが、大事な役目ですね。

城を奪うというのは、何も毎回攻囲戦だったわけではなく、もう勝ち目がないや、と思ったら話し合いで条件を決めて開城することもありましたし、誰かを裏切らせて中から門を開けさせることもできました。また、こんな任務は申し付かりたくないですけれど、便所の落とし樋をよじのぼって侵入したりという奇襲、忍び込みでも奪うことができたそうです。怖すぎですけどね。トイレからなんとか侵入したところを向こうの人に見つかったらアウトじゃないですか。

ただこれらのことがうまくいかない、ということになると攻囲戦になるわけです。要塞に閉じこもっている側は逃げ道がありませんから、兵糧がなくなればいずれは降伏する運命にあります。それでもそうなるまでには時間がかかりますし、囲んでいる方、攻めている方もやっぱり食料の確保が重要な問題で、囲んでる方が兵糧がなくなって撤退、ということもありえました。また、長く包囲を続けている間に病気が流行って矢も射掛けられてないのにかなりの兵士を失うということもありました。囲まれている方も、わざと囲んでいる方を病気にさせようとしたりしたみたいですね。

攻囲戦は派手で面白くあるのですが、実際にはそうあったものではないようです。

アウディA1

隔絶の感覚

夏休み前の土日、というのは不思議な気持ちです。

私の職場は夏休みの期間がはっきりとは定められていません。7月から9月の間に全員がいなくならないように調整しさえすれば、あとは好きにとっていい、そういう仕組みになっています。だからある人は7月1日からいなくなり、ある人は9月末にいなくなるという具合です。一番人気は当然ジャストお盆かあるいはその前後になります。その頃は人がいなくて業務に支障が出まくりなのですが、しかし上の人のすることに文句は言えません。私はまだ下っ端ですので、いつも9月頭から真ん中くらいにとっていたのですが(9月終わりは期末なんで休めないんですね)今年は旅行があるので8月の終わりに取ることにしました。他の人が休む関係があったので、月曜1日だけは出社しそれから休みをもらいます。しかし1日だけの出社、というのはほとんど働いていないのも同然で、まぁ絶対にやらなければいけない仕事もあるのでそこまで気を抜くわけにもいかないのですが、でもほとんど休みの日に様子を見にふらっと出かけるのと気持ちとしては近いものがあります。

引き継ぎ事項をまとめたファイルを作って、引き継ぐ相手になるべく負担をかけないように下準備に下準備を重ねて、メールの不在メッセージを設定して、とこまごまとした準備は金曜日までにやってしまいました。あとは月曜日に急に面倒くさい仕事が降ってこないことを祈るばかりです。

わくわくしているわけではなくて、まぁ夏休みは嬉しいんですが、どちらかというとエアポケットのような気持です。猛暑日にクーラーの効いた日陰の部屋にいる気持ち、といいますか、外はかんかん照りでいかにも暑そうなのに、自分のいるところは音がなくて温度のない感じ。まるで水槽の中にいるような、プールに潜って水面下から光の踊る水面を見上げているような気持ちです。まるで社会から切り離されているような感覚。

これ、実際に夏休みになれば、やれパスポートが見つからない、やれスーツケースがしまらない、服がしわになった、足にまめができたと大騒ぎでこういう隔絶の感覚を味わうことはないんでしょうけれど。でもこういう感覚も面白いですね。いるのにいないこの感じ。さびしいはずなのに、不思議と心地いい気もします。